高難易度への挑戦合同会社微細加工研究所

順送型設計手順B:金型設計(組立図)後編
 8)抜きのカス上がり、カス詰まりの原因と対策(カス=スクラップ)
(1)抜きカス上がりの原因
微細抜きでは、抜きカスが自重でダイの下に落下することは期待できず、下記の要因でのカス上がりが考えられる。

 ・抜きカスが油で密着する場合  
 抜きカスに付着した油のせいでパンチ底面に密着すると、パンチと共に上昇する場合がある


 ・ストリッパ下面よりパンチ底面が中にある場合
パンチとストリッパのクリアランス(=隙間)が極小のため、抜き後上昇する際にストリッパ下面とパンチ底面の空間が真空となり抜きカスが上昇する。

 
(2)抜きカス詰まりの原因
微細抜きで特に丸形状または丸に近い形状の場合はダイまたはダイバッキング、ダイホルダーで詰まることがある。
加工油により抜きカスがプレートの側面に付着し詰まる。抜きカスが詰まるとパンチ破損の原因となる。 

 (3)抜きカス上がりの対策事例 
抜きパンチにエアー穴を空け上から吹く
パンチ内部にエジェクトピンを設置する

 
 ・微細抜きパンチの場合
抜きパンチに穴を空けられない微細抜きパンチの場合はパンチ先端面に凹みを付けパンチと抜きカスの接触面積を少なくする

 

 抜きパンチと抜きダイのクリアランス(=隙間)を少なく設定し抜きカスの剪断面を多くする。
 抜きダイにはストレート部を設け抜きカスがダイに食いつくようにする。
※箔材抜きではダイの逃げ角は0.22°(片側)が適当。  
(4)抜きカス詰まりの対策事例
微細な抜きは、ダイやダイバッキング、ダイホルダーで抜きカスが詰まり抜きパンチが破損することがある。

原因
カス上がり対策と矛盾するが、ダイの切り刃のストレート部が長いとダイが摩耗した際に逆テーパとなることがあり抜きカスが詰まる。
加工油により、ダイバッキングやダイホルダーの逃げ穴の側面に付着し抜きカスが詰まる。特に、加工油が金型に付着し時間が経過すると接着剤に似た状態となる。
対策事例
下図のようにダイホルダー側面からエアーにより強制的に抜きカスを排除する。
ある程度の生産が完了したら、金型を洗浄し加工油を洗い落とす。
 

 9)精密微細金型部品公差の決め方事例   
  I.パンチ、ダイ、ストリッパの公差の事例   
材料(SUS304CSP-1/2H T=0.1mm)に対してΦ0.2mmの穴を明ける場合のパンチとストリッパとダイの寸法と公差の事例
   
パンチ    ストリッパ  ダイ
径:Φ0.2mm
公差:±0.002mm
穴径:Φ0.205mm
公差:±0.002mm
穴径:Φ0.214mm
公差:±0.002mm
  II.入れ駒の公差の事例   
 ・入れ駒が生産中に動作しない場合  
X:公差−0.002mm〜−0.005mm
Y:公差+0.002mm〜±0mm
 ・入れ駒が生産中に動作する場合  
X:公差−0.002mm〜−0.005mm
Y:公差+0.005mm〜+0.002mm
 

10)金型部品の材質 
 I.各プレートの材質事例 
 
 II.パンチ、ダイ駒、ストリッパ駒の材質
・パンチ
微細精密部品のパンチは耐摩耗性で超硬材を使用する。
生産量が少ない場合も微細パンチは研削が困難なので超硬材を使用する。
・ダイ駒
生産量が多い場合は、耐摩耗性から超硬材を使用する。
但し、ニッケルが含有しているステンレスを加工する場合は微粒子超硬を使用する。
・ストリッパ駒
パンチの摩耗よりストリッパ駒の摩耗が先になるよう、SKH51 HRC61〜64を使用する。
・超硬の種類と粒子径
 微粒子超硬粒径0.8〜1.5μm 


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